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「インド万華鏡」の旅へ

インドの風景、遺跡、人々、神々、ヨーガ、伝統武術

マンドゥ村の日々【前編】点在する遺跡とバオバブの大樹

マディヤ・プラデシュ州 イスラム教 遺跡村

今回紹介するのは、マディヤ・プラデシュ州のマンドゥ。

マディヤ・プラデシュ州の州都、ボパールに次ぐ第二の商都インドールからおよそ100kmの台地上に位置する小さな村だ。

アクセスは直行バスでインドール(Indore)より3時間半、とダール(Dhar)より1時間、またムホウ(Mhow)より1時間半。数は少ないがオームカレシュワルウジェインからも直行バスがある。

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マルワー地方のムスリム系王朝が15世紀のはじめに首都をマンドゥに定め、それ以来地域の中心として多くの宮殿が建てられ栄華を欲しいままにしたという。

あまたの王朝によって要衝として争われた後、18世紀に近隣のダールに遷都されて以降は急速に衰退し、現在は緑豊かな鄙びた寒村になってしまった。 

(詳細は英語だがMandu, Madhya Pradesh - Wikipedia 参照。日本語のリンクもあり)

しかし畑や灌木林が広がる丘陵台地のいたる所に、船の宮殿(Jahaz Mahal)を始めとしたパレスやモスク、墓廟(Tomb)などイスラム石造建築の遺構が点在する景観は、すこぶる魅力的だ。

台地に刻まれたミニ・グランドキャニオンのようなダイナミックな地形と素朴な村の風景、そしてつわもの共が夢の跡を実感させる遺跡がかもし出す独特の風情は、マディア・プラデシュ州でも穴場的観光地だと言えるだろう。

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最盛期には15,000人の側室を住まわせたという船の宮殿。大きな貯水池の際に浮かぶように建てられているのがその名の由来:Royal Enclave Group

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貯水池の岸から見た船の宮殿。乾季で水量は少ない。雨期の満水時がベスト

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近くで見ると表面の漆喰もはがれ、廃墟感が半端ない。かつては美々しいタイルで覆われていたのだろう

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宮庭にはこのような池と噴水がある。噴水は多分後付けだろう

広大なエリアはRoyal Enclave Group、Village Group、Sagar Talao Group、Rewa Kund Groupの四つに分けられており、それぞれの目玉や大まかな位置関係を頭に入れておくと動き易い。 

詳細地図と見所の位置関係は Mandu – Travel guide at Wikivoyage を参照

全域の広がりは歩くには少々広大すぎるので、バザールでレンタサイクルを借りて周るのも良いだろう。私は歩くのが何より好きなので、ほぼ全てを歩き尽くした。その方が村人との触れ合いも多く、時間はかかるが疲れを知らない人にはお勧めだ。

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マンドゥではこの構図にはまってしまった(笑)

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ヒンドラ・マハル(Hindola Mahal)の連続アーチ構造。屋根はすでに落ちている

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白大理石が際立つホシャン・シャー墓廟(Hoshang Shah Tomb) Village Group

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マリク・ムギット・モスク(Malik Mughith's Mosque)Sagar Talao Group

マンドゥを印象深くしているもうひとつの特徴。それがバオバブ・ツリーの存在だ。 

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牛と土壁の家と、バオバブの巨木

それは遥かな昔、ムスリムの商人によって種が運ばれたとも、また、いまだインド亜大陸がアフリカやマダガスカルと一体だった頃の名残だとも人は言う。

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日本の古い田舎の家の庭に、必ずケヤキの大木が生えていたのを思い出した

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バオバブの木の下で牛を追うのは、子供たちの仕事だ

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アフリカやマダガスカルのそれと違って枝打ちされていない自然樹形は荒々しく奔放だ

沖縄のソフト・コーラルを思い出させるその奇っ怪な姿は、夜になって人がみんな寝静まったら、ひそかにワラワラと歩き出していそうだ。 

ムーミンに出てくるニョロニョロの様に! 

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そんな不思議な風景の中、 人々は牛を飼い、学校に通い、

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四辻のチャイ屋ではターバンをかぶった男たちが憩う。 

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マディア・プラデシュ州のこの辺りは、ラジャスタンやグジャラートなどと同じターバン文化圏だ

その上に立つバオバブの巨木は、一体どれだけの間、人々の営みを見つめ続けてきたのか。マンドゥは旅人の心をそんな郷愁へといざなう、インド世界のひとつの原風景だ。

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遺跡と畑とバオバブの大樹

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私が見た中では特大サイズのバオバブの樹。ほとんど物理的な圧力さえ感じる存在感だ

マンドゥでの散策は、村の中心バザール近傍にある『風の宮殿』から南に向かって、レワ・クンド・グループの『ルプマティの離宮』を目指すのがメインコースになっている。

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貯水池を中心にしたレワ・クンドの遺跡。ここからルプマティの離宮へ水が送られていた

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この廃墟感ある水辺には痺れてしまう。何人か人影が見えるが、ここに住んでいるのだろうか?

畑の中に点在する遺跡と、土壁の家と、バオバブの大樹を見ながら数時間歩くと、やがてルプマティの離宮へとたどり着く。

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おそらく、よその村から来た歩き巡礼だろう。この様子は、観光客というよりやはり巡礼だ

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ルプマティの離宮、パノラマ写真

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高台に向かう石垣の道を登る

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離宮の内部は、このような魔宮(迷宮)的なムード満点

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内部上階から周囲を遠望する。小さく見えるのはバズ・バハドゥール・パレスだ

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社会見学でやって来た大学生。日中は陽ざしが熱いが空気は乾燥しているので日陰に入るとひんやりする

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離宮はこのような崖の縁に建っており、絶景が味わえる。インドの昔の王侯というのは、やはり贅沢だ

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二人で来たのだろうか。このような老夫婦の風情が好きだ


Forts Of India - Mandu - Ep # 17より

英語だが、瑞々しい緑に包まれた雨期のマンドゥを見ることができる


The Afghan Ruins of MANDU - Madhya Pradesh TOURISM VIDEO より。

ロイヤル・エンクレイブを中心に高画質でメインの遺跡を映し出している

実は、私は1996年にも一度ここマンドゥを訪ねた事がある。最近ではインドの経済成長に伴って多くの中産階級が観光客として押し寄せているが、長い月日が経ったにも関わらず、昔とほとんど変わらない素朴で淡々とした日常を生きる村人は健在だった。

彼らの人懐こい無邪気な笑顔に取り囲まれた瞬間、インドを旅する間に降り積もった澱の様な疲れも、一瞬で癒される気がした。 

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土壁、屋根には豆のつる、ロープで編んだベッド、鶏、遠くに遺跡。この家に何人が住んでいるのだろうか

次回はそんな、インドでも一押しの『笑顔が素敵な村人』を中心に、マンドゥの残りの見所を紹介していきたい。


 (本投稿はインド百景 - Yahoo!ブログの記事を大幅に増補・修正の上移転したものです)

  

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