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「インド万華鏡」の旅へ

インドの風景、遺跡、人々、神々、ヨーガ、伝統武術

オームカレシュワルの巡礼路 【前編】サンガムの沐浴場へ

マディヤ・プラデシュ州 聖地 川・湖・海 - 水辺 ヒンドゥ寺院

今日紹介するのは聖地オームカレシュワル(Omkareshwar)、マディヤ・プラデシュ州のヴィンディヤ山中にあるヒンドゥ聖地だ。

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ナルマダ河の中洲島である『マンダタ島』の全体が聖地。上流にはダムが見える。

その中心は12ジョティリンガの内のひとつであるオムカレシュワル寺院で、この寺院の名前がそのまま地名にもなっている。

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右手の白い砲弾型屋根がオームカレシュワル寺院 

ジョティリンガとは光のリンガを意味し、世界の始原に最初にシヴァが現れたとき、それが眩い炎の柱だった事に由来する。 

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天地を貫く炎のリンガ・シヴァに礼拝するブラフマーとヴィシュヌ

 世界の始原のある時ヴィシュヌとブラフマーが、どちらが真の最高神(創造神)であるか口論していたところ、シヴァが天地を貫きその両端も定かでないほど巨大な光り輝く炎のリンガの柱となってその姿を現した。

ヴィシュヌはこの恐るべし炎の柱の下端を見つけようとイノシシの姿をとって大地を掘り進んでいったが、無限に近い時間がたってもそれを発見できなかった。

ブラフマーはその上端を見つけようと白鳥の姿をとって天界のさらに高みへと飛んで行って、無限に近い時が経ってから戻ってきて「私は炎の柱の上端を見出した(故に私はシヴァ神よりも偉大だ)」と僭称した。

シヴァはその言葉を聞いて文字通り烈火のごとく怒り狂い、ブラフマーに恐ろしい呪いをかけた。いわく「お前は永遠に老醜に苛まれ、人間たちに祀られることはないであろう」と。

ヴィシュヌとブラフマーはそのあまりの威厳に思わずシヴァを自分より上位の最高神と認め、礼拝せずにはいられなかったという。

その後、かつては唯一至高神・絶対者として全インドで崇められていたブラフマーの権威は凋落し、彼を祀る寺院は消え失せ、まれに祀られる場合でもその姿は常に哀れな老人の姿をしているそうな【抄訳筆者】。

September | 2013 | aryayogi より。

インド全体でこのジョティリンガと呼ばれるものは12箇所あり、それら12のジョティリンガを結んで、巡礼路が作られている。 

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Jyotirlinga Shrines, Twelve Jyotirlinga Shrines of Shiva より 

12ジョティリンガの中でも、マンダタ島という美しい風光明媚なロケーションもあってオームカレシュワルの人気は高く、ローカルにとっては欠かせない巡礼地になっている。

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崖の上にはバラナシを思わせるマハラジャの別荘

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寺院からガートと対岸を見下ろす 

ナルマダ河の水はどこまでも澄み、下流には島の両岸を流れた水が合流する『サンガム』の聖地がある。

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サンガムに向かう巡礼。サンガムの聖水を汲むポットと、聖杖ダンダを持つ 

オムカレシュワル寺院下のガートで沐浴し、寺院のジョティリンガにお参りする。そして島の最下流にあるサンガムまで歩き、そこで沐浴し、島を一周する巡礼路を巡ってから、再びジョティリンガにお参りする。 

これが、ヒンドゥの善男善女にとっては、かけがえのない喜びとなる。

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剃髪し、プージャをするブラーマン。インド人に祭祀は欠かせない

オンカレシュワルの町は一番近い鉄道駅からバスで50分ほどの山間にあり、周囲には乾燥した疎林に覆われた世界が広がっている。

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オームカレシュワル寺院に向かう参道 

近隣の大きな町に比べれば十分に辺鄙なオームカレシュワルも、周辺の貧しい村の人々にとっては十二分に華やいだ門前町だ。

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巡礼路をサンガムに向かう村の家族。村の女性は頭上運搬がデフォルトだ

ナルマダ河の豊かな水に囲まれたマンダータ島の巡礼路は、色鮮やかな花と緑に包まれてそこだけが天上の楽園のように見える。

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農民は細い足でしっかりと踏みしめて歩く。聖杖ダンダはシヴァ神そのものでもあり、同行二人だ 

ここで出会う巡礼の人々は、どちらかというと村から出てきたおのぼりさんポイ素朴な人たちが多く、一様に『ハレの日』の喜びに溢れている。

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 巡礼の路を、まずは島の南岸をナルマダ河に沿って歩いていく 

サンガムに近づくに連れて、沿道には参拝用品の露天が並び賑わい始める。

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露天商の母子。しかし、インドにおける少女(親)のファッション・センスは注目に値する(笑) 

やがて路は河原へと降り、島の西の端、サンガムの合流地点にたどり着く。

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南岸の流れと北岸の流れが合流する聖サンガムで沐浴する。水底が見えるほど水は澄んでいる

ナルマダ河の中洲島マンダパ島。その西端にサンガムの合流地点がある

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島の最西端、北向きに自然石のリンガが祀られている。北岸ではほとんど沐浴は行われていない

サンガムの南西に面した沐浴場では、女たちはサリーを着たまま、男たちはパンツ一丁で、子供たちは時にスッポンポンで、嬉々として冷たい水と戯れている。

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右からの流れと左からの流れが合流し、せめぎあうサンガム

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家族に写真を撮ってもらう姉妹。インド人は水に入っただけではしゃいでしまうDNAを持っている 

1年の3分の2を厳しい乾燥と酷熱にさらされるインド人にとって、水の恵みは何よりの喜びであり、老若男女を問わず、その表情は開けっぴろげにほころんでいる。

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北岸の流れを背に南に向かってプージャする親族の男たち。男系社会を象徴しているようだ

インドでは現在でも家制度や先祖供養が息づいていて、プージャの多くもまた、先祖供養と関わっている。巡礼は何よりも家族行事なのだ。

マンダタ島全体がひとつの巨大な『アウトドア寺院ミュージアム』になっており、サンガムでの沐浴と祭祀を済ませて心身を浄化した篤信者たちは、いよいよ本番の寺院・祠堂巡りを始める為に折り返して、東へと向かう尾根道に進路をとるのであった。 

次回は、サンガムで折り返した巡礼が、様々な寺院や遺跡を経ながら島の尾根筋を進み、ダムを遠望する東端に至ってから、南岸をオンカレシュワル寺院まで戻る道程を紹介したい。

 

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