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「インド万華鏡」の旅へ

インドの風景、遺跡、人々、神々、ヨーガ、伝統武術

ラジサマンド湖畔の知られざるパビリオン彫刻

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第一パビリオン。湖面に反射する日の光に下から照らされて彫刻の陰影が美しく揺れている

ラジサマンド湖(Rajsamand Lake)はラジャスタン州に多くある人造湖のひとつで、レイクパレスで有名なウダイプル市から北に六十数キロ離れたカンクローリ(Kankroli)の町はずれに位置している。 

ラジサマンド湖は1660年代にウダイプルのメワール王マハラーナー・ラージ・シン(Maharana Raj Singh)によって造られたダム湖で、その南端の湖岸に美しい大理石のガートがあることで知られている。

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ラジサマンド湖南岸に作られた大理石のガート

最奥部にパレスがあり、水際にはパビリオンとトラナが建てられている

ちなみにこのマハラーナーというのは西インドのラージプート族が主に使う称号で、ラーナーとは軍事的な王、日本語で言えば武王、もしくは将軍に近いニュアンスの言葉になる。それにマハがついているので『大武王・大将軍』的な意味合いだろうか。尚武の気風を尊ぶラージプートらしい呼称だ。

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ラージ・シング - Wikipediaより

直刀両刃の長剣とカタールダガー)という短剣を携えている

その大武王ラージ・シンによって造られたからラージの湖(サムードラ)、でラジサマンドと言う訳だ。

湖の南岸に設けられた大理石のガートは、王族がヒンドゥーの祭式を執り行うための特別なセッティングだというが、その水際には同じように大理石で作られた美しいトラナ(門塔)とパビリオンが立っている。

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手前が第三トラナ、奥に少し見にくいが第二トラナ、背後にパレス、第一パビリオン、その隣奥が給水塔

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少し場所を変えて、第一パビリオンと第二トラナ

f:id:Parashraama:20160823173705j:plain三角屋根が特徴的な第三トラナと第二パビリオン

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最もパレスに近い第一パビリオン。その内面は精緻な彫刻で埋め尽くされている

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第一パビリオンと大理石のプラットホーム。時間が止まっているようだ

このトラナとパビリオンは王妃チャルマティ(Maharani Charumati)の特別な肝いりで建てられたと言われ、特に三基あるパビリオンの内部に施された装飾彫刻は、女性的で繊細な感性をうかがわせる精緻を極めたものだ。

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レースの様に繊細な天井彫刻。女性らしく鳥や花のモチーフが多い

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中央はブラフマー神か、あるいはトリムルティ

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首の欠損が多いが、当時の風俗を活写している

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第二トラナ。湖面の青とのコントラストが美しい

実はこのガート遺跡は、内容は世界遺産級であるにもかかわらず何故か放置されていて、そのハイライトと言うべき彫刻群もかなり土埃を被ってしまっていた(2011年時点:ひょっとすると毎年雨期の増水のたびに水没して、泥にまみれてしまうのかも知れないが・・)。

掲載写真は中でも汚れの目立たない美しいものを選んでいるが、インド政府当局には是非改善して頂きたいと願っている。

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正面から見た第三トラナ。ヒンドゥ教で言う天国への門(スワルガ・ドワラ)のイメージだろうか。雑草が生えてしまっているのが、また廃墟的な寂寥感をかき立てる

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正面から見た第二パビリオン。列柱のたたずまいが素晴らしい

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精緻を極めた彫刻。中心の七頭立てラタ戦車に乗るのは太陽神スリヤだろう

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一枚の方形パネルの大きさは1m×1m程か。余りに細かすぎて何が彫ってあるのかよく分からない

f:id:Parashraama:20160824005223j:plainよく見ると中央辺り、まだ作業途中で完成していない。さすがインド人!

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神話の世界に迷い込んだようだ

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湖面に映る第二パビリオン。洗濯する女性が小さく写っている

インドで川や湖の水際に見られるガートは、乾季と雨季の水量の違いを前提にして階段状に造られている。私がここを訪ねたのは1月の乾季だったので水面はかなり低い。

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第四トラナ越しに第二パビリオンを見る

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実はこのガートのどこかに、ゾウが交尾している「ミトゥナ象」が彫られたパネルがある。これは確かカジュラホにも見られるもので、カーマ(性愛)を尊ぶ上流インド人士の洒落っ気とでも言おうか

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パレスから一番遠くにある第三パビリオン。彼方に小さく給水塔が見える

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岩山からガートを見下ろすと全体像がよく分かる。白く乾いたガートと膨大な水の広がりの対比

第三パビリオンを過ぎてさらに進むと、小高い岩山に登ることができる。そこから見下ろすガートと湖は絶景の一語で、ガートから突き出したプラットフォームにパビリオンが建てられている、その全体像がよく見渡せる。

上の写真の最奥部山際にはパレスが見えるが、その背後の山頂にはやはり遺跡のように古びた別荘ハヴェリが建っている。そちら側に登って見下ろした写真が下になる。

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山頂ハヴェリはまだ人が住めそうな体裁をなんとか保っている。白い漆喰壁が陽に眩しい

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イスラム風の玉ねぎ屋根はこの辺りのスタイル

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中段にあるのは新しいモスク。その右上の湖畔に第三パビリオンとガートがかろうじて見える

この山頂パレスから見る湖や360度のパノラマは絶景で、是非登ってみることをお勧めしたい(現在では立ち入り禁止になっている可能性もあり)。

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かつては美しい姫がこのベランダに佇んでいたのだろうか

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湖の周りは緑に覆われているが、少し離れた山肌は乾燥し切っている

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他にも遺跡っぽいハヴェリか寺院らしき建物が点在する

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途中、モスクの敷地へ通じるゲートの背後にも、やはり遺跡っぽい門塔が建っている

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山頂パレスの手前で出会ったポップなガネーシャ神とハヌマーン

ラジサマンド湖のあるカンクローリには、他にもクリシュナ神を祀るドワルカディシュ寺院(Dwarkadhish Temple)などの見所がある。ヒンドゥ教徒以外には余り面白味はないかも知れないが、ラジャスタン特有のハヴェリ(Haveli)建築が見られるので時間があれば訪ねてみるのもいいだろう。

ラジサマンド湖に行く場合、カンクローリはほとんど観光開発されていないので、宿泊はウダイプルにして日帰りツアーがお勧めだ。

ウダイプルのバスターミナルからローカルバスで1時間半ほど。カンクローリのバスターミナルで下車して、オート・リクシャで『ナウ・チョウキ・パーク(Nau Chowki Park:ナヴ・チョキ・パルク)』と言えば10分ほどでラジサマンド湖畔に到着する。手前にある児童公園の様な敷地を通り抜けた奥がガートだ。

また次回以降に改めて投稿したいが、ウダイプルからカンクローリへ来る途中には、この辺りでは一番有名なクリシュナ寺院があるナットドワラという町や、その少し手前にはやはり大きなトラナで知られるエクリングジ(Eklingji)という村がある。

ウダイプルの周辺には外国人観光客にはあまり知られていない穴場が多いので、これから本ブログで少しずつ紹介していきたい。

 

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