「インド万華鏡」の旅へ

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マンドゥ村の日々【後編】大地に生きる村人たちの笑顔

上の前回投稿では、遺跡とバオバブの樹を中心にお送りしたマンドゥ情報。今回はマンドゥ村が位置する地形の面白さとそこで生きる素朴な村人たちを写真と共に紹介したい。

マンドゥ村は標高400~600m前後にある台地上の平坦地に広がっている。下の絵地図を見れば分かるように、その台地には深く渓谷が切れ込んでいて、低地にある町からマンドゥ村に向かうバスの道中では、そのダイナミックな地形の変遷を楽しむことができる。f:id:Parashraama:20161105165232j:plainMandu-Tourist-Map-Natu-Foundation より。要拡大。左端が北側のデリー・ゲート。右端が南側ルプマティ・パビリオン。ほぼ南北の二本道がメインルートで、その両側には渓谷が迫っている。

あまたの王朝がマンドゥをその首都としていた最盛期には、この台地上がおよそ総延長37Kmもの城壁で囲われ、各所のゲートで出入りを制限する城塞都市となっていた。

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Mandu - The City of Joy I | Shadows Galore より。赤線の城壁と断崖の地形によって守られた天然の要害だ

ダイナミックな地形の上に城塞都市としての栄華を偲ばせる遺跡が至る所に点在し、その中で営まれるごく普通の素朴な村人の生活ぶりと鮮やかなコントラストを生み出している。

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デリー門近くの城壁と渓谷。谷底にも畑と村があり、台地の上下を人々は行き来している

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城壁から谷底の貯水池を見下ろす。対岸の台地上は真っ平らだ

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デリー・ゲートの外に抜ける街道とその周囲の風景

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くねくね道を走る乗り合いバス・トラック。私の乗ったバスもこんな風にデリー門を通って行った。

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モスクの遺跡だろうか。これもデリー門の近く

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デリー門は石畳の古道として保存されており、車道は少し離れた壁の切れ目を通って行く。

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ジャハズ・マハル(船の宮殿)

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イスラムらしい繊細な透かし窓。ホシャン・シャー墓廟

もちろんそこにアクセントを利かせているバオバブの樹も忘れてはいけない。

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この大きな樹形が、真夜中の月明かりに浮かび上がったりしたら、やはり怖いだろうな

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乾季にしては珍しく、青々と葉を茂らせたバオバブの大木

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サリー姿の頭上運搬母さんと道沿いのバオバブの並木

しかし、中でも私が強く心惹かれたのは、素朴な村人の笑顔だった。

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写真を撮ってもらえるのが嬉しくて仕方がない、飛び切りの笑顔

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牛はもちろん、大切な家族の一員だ 

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私という突然の珍客に盛り上がっている家族。笑顔の白い歯が眩しい。

これはインドの村全般でそうなのだが、ここの人々はいつも誰かと複数と、沢山の人達と肩寄せ合って生きていて、子供も多くて隣近所の垣根がなくて、なんだかとても癒される空気感なのだ。

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土壁の家の中には小さいけれどカラーテレビがあって、ご近所さんも集まって大勢で見ていた

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反対から見るとこんな感じ。いったい何人が集まっているのだろう

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個人的な好みで、今回のミス・フォトジェニック・マンドゥ

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フォト・キチェンゲ(写真撮る)?と尋ねると、もうこの笑顔だ

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土壁の家を建てる。DIYなのか専門の職人なのか分からないが、明らかに家族労働だ

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水汲み仕事中の男の子もパチリ。多分相当重いんだろう、さすがに笑顔が少し硬いかな・・・ゴメン!

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畑で子犬と遊んでいた兄妹。フォト?て聞いたら、しっかり子犬も抱きかかえて一緒に

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都会では人妻が見ず知らずの外人男に写真を撮られるのは結構抵抗があるのだが、ここではノープロブレム

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シックで美しいサリーを着て農作業していたご婦人方。宝飾品もしっかり身に着けている

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顔がそっくりの姉弟。子供たちはいつでもウエルカムだ

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うれし恥ずかし、で記念写真モード。よく見るとみんな裸足だ

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多分家族だと思うが、お母さん、子供多いな

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インドの田舎ではよくあるのだが、一度撮りだすと次から次へと止まらなくなる 

 

イスラム色の強いマンドゥーで、ここだけ思いっ切りヒンドゥしていたニル・カンタは台地に渓谷が切れ込んでいくその最上部の水源地にシヴァを祀ったもので、この村では異彩を放っている。

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シヴァ神を祀るニル・カンタ(Nil Kantha)

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湧き水と共に祀られる御神体のシヴァ・リンガム。一見乾燥したマンドゥだが水は豊かだ

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これがバオバブの実。おばさんが手にする白いのが果肉。食べられる

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こんな雄大な世界で伸び伸び育ったら、そりゃ開けっぴろげの笑顔になるわな

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グローバル商品経済の出先機関。コルゲートの文字が見える。この若く美人のお母さん、実は直前までサリーのベールを上げていたのだが、カメラを向けると顔を隠してしまった。よーく見ると、ベールの陰で顔が笑っている。みんな良く踏み固められた土間を裸足で歩いている

村を歩いていると、バオバブの樹の奇妙な利用法に目が留まった。幹の股や枝を利用して藁の貯蔵庫として使っている様だ。

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おそらく牛の餌や敷き藁として蓄えておくのだろう

下はバオバブではなくバニヤン系の樹だろうか。気根がぶわっとはびこって、股の部分が良い塩梅のワラ置き場になっている

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農家の庭先のけったいな大木。遠くでお母さんと子供がこちらを見ている。各戸に一本必ずあるようなこういう大木は、ひょっとするとご神木まで行かなくても、家の守り神(霊樹)なのかも知れない

デリー門を出て街道沿いに1時間ほど歩くと、湧き出た清流が断崖から流れ落ちる小さな滝がある。乾季だったので水はちょろちょろだったが、雨期には壮大な瀑布になるという。

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見物人との対比でスケール感が分かる断崖絶壁

デカンの玄武岩質なのだろうか。このような崖際のあちこちで澄んだ水が湧き出していた。水に恵まれているというのが、マンドゥが繁栄したひとつの要因かも知れない。 

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滝から反対側を見ると、このようになっている。地平線がバターナイフで削いだように真っ平だ

断崖から深く切れ込んだ渓谷と、その両サイドに広がる真っ平らな大地の対比も鮮烈で、よく見ると、この渓谷の斜面には人や動物が歩く踏み分け道がついている。

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台地の大平原で出会った、牛飼いのボーイッシュな少女?

草の生えている所を求めて、谷底と台地上を牛を追って生活しているのだという牛飼いの少女は、今改めて見てみるとガムチャを腰に巻いていたり手が大きかったりと、ひょっとして少年だったかも知れない。しかし耳にピアスも確認できるから、果たして・・

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追っているのは水牛だった

学校に行っているのか、行っていないのかも分からないが、その屈託のない爽やかな笑顔は、彼女(彼)の生活が充実している事を物語っている気がした。

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これは拡大しないと分からないだろう。谷底に至る斜面に白い牛も放牧されていた

雨期になるとあちこちの断崖に美しい瀑布がかかり、この枯草色の大地も一面の鮮やかな緑に覆われるという。機会があれば今度は是非、その時期に訪ねたいと思う。

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尖塔とドーム屋根という典型的なジャイナ教建築

最後に紹介するのが、バザール周辺で目立ったジャイナ教寺院だ。イスラム建築が主流のマンドゥー村の中に、いきなり全く様子の違う現役のジャイナ教寺院が白亜の姿を主張していてとても印象的だった。

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黄金の光背を背負ったティールタンカラ御本尊。翅の生えた天使が舞っている

最後の最後に、ちょっと印象に残った一枚を掲載しよう。普通の家なのかそれとも学校なのか、突っ込んで調べなかったが、その壁絵の彩色と共にストップモーションになった女の子の構図がお気に入りだ。

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多分民家の玄関先だろう。魔除けだろうか、入口の両脇にスタンプされた手のひら模様がユニークだ

さて、これでもかと写真を載せてみたが、マンドゥの魅力が少しは伝わっただろうか。まったりとした滞在・散策型の穴場として、マンドゥ村は個人的には3本の指に入るほど気に入っている。

この記事を見て、もし旅心が刺激されたら、是非、一度訪ねてみてほしい。素朴な村人とバオバブの樹たちが、あなたを待っているぞー♬

今度こそおしまいに、ネット上で見つけたマンドゥ紹介のサイトを貼っておこう。雨季のマンドゥの写真がとても美しく、私が撮ったニョロニョロのような2本のバオバブがすっかり芽吹いて緑色になっている写真もあった。必見!

もうひとつは最新2016年のブログ記事。懐かしいマンドゥは今も変わりなかった!

☆宿情報は、バザール周辺と州政府MPT経営のバンガローがあるけど、今のインドは変化が激しいので、行く時の最新情報をゲットしてください!


 (本投稿はインド百景 - Yahoo!ブログの記事を大幅に増補・修正の上移転したものです)

  

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